百人一首の春の歌(6首)
出典の歌集で「春」の部に収められた歌です。平安時代の和歌で「花」といえば桜のことで、百人一首の春の歌も多くが桜を詠んでいます。
咲き誇る桜を愛でる歌(61番・73番)がある一方で、散りゆく花に心を重ねる歌(9番・33番)もあり、春の明るさと移ろいやすさの両方が味わえます。
春の歌の一覧
- 第9番小野小町三字決まり「はなの」花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに桜の色はむなしく色あせてしまった。長雨を眺めて物思いにふけるうちに、私の容色も衰えてしまった。
- 第15番光孝天皇六字決まり「きみがためは」君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつあなたに差し上げるために春の野に出て若菜を摘む、その私の袖に雪がしきりに降りかかる。
- 第33番紀友則二字決まり「ひさ」ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ日の光がのどかな春の日に、どうして落ち着いた心もなく桜の花は散ってゆくのだろう。
- 第35番紀貫之三字決まり「ひとは」人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける人の心はさあどうだかわからない。だが昔なじみのこの里では、梅の花が昔のままの香りで匂っている。
- 第61番伊勢大輔二字決まり「いに」いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな昔の奈良の都の八重桜が、今日は九重の宮中で美しく咲き匂っていることよ。
- 第73番前権中納言匡房二字決まり「たか」高砂の 尾の上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ高砂の山の峰の桜が咲いた。里山の霞よ、どうか立たずにいておくれ。