百人一首の旅と別れの歌(5首)
出典の歌集で「羇旅(旅)」の部に収められた歌と、「離別」の部の歌(16番)をまとめています。
唐の地で故郷の月を思う阿倍仲麻呂(7番)、流罪の船出を詠んだ小野篁(11番)、手向山の神に紅葉を捧げた菅原道真(24番)など、都を離れる人の心が詠まれています。
旅と別れの歌の一覧
- 第7番阿倍仲麻呂三字決まり「あまの」天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも大空を仰いで遠くを眺めれば月が出ている。あれは故郷の春日、三笠の山に出ていた月と同じなのだろうか。
- 第11番参議篁六字決まり「わたのはらや」わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣舟大海原をたくさんの島々めざして漕ぎ出して行ったと、都の人に伝えてくれ、漁師の釣舟よ。
- 第16番中納言行平二字決まり「たち」立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来むお別れして因幡の山の峰に生える松ではないが、待っていると聞いたなら、すぐにでも帰って来よう。
- 第24番菅家二字決まり「この」このたびは 幣もとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに今度の旅は急のことで幣も用意できません。この手向山の紅葉の錦を、神の御心のままにお受け取りください。
- 第93番鎌倉右大臣五字決まり「よのなかは」世の中は 常にもがもな 渚こぐ あまの小舟の 綱手かなしも世の中はいつまでも変わらずにあってほしい。渚を漕ぐ漁師の小舟が綱手を引く姿の、なんとしみじみと心にしみることか。